応援いただいている方々 NO1
木村泰子さん
(きむらやすこ)
「すべての子どもの学習権を保障する」という理念のもと、教職員や地域の人たちの協力で設立された大阪市立大空小学校の初代校長。2015年春 45年間の教職歴をもって退職。現在は、全国各地で講演活動を行う。著書『「みんなの学校」が教えてくれたこと』、『「ほんとのこと」は、親にはいえない』など。
<メッセージ>
いい学校に行っていい会社に入ればいい人生が送れるというのは、予測可能な範囲で正解を教える教育の発想です。想定外の未来ではこうしたセオリーは通用しません。最近は受験の低年齢化や過熱化も取り沙汰されていますが、これは今の保護者の中にはまだ、過去の教育を受けてきた古い世代が多くいるからです。私はあと3年から5年で、そのような価値観の保護者が激減すると思いますし、すでにその過渡期にあると考えています。こうしたことに気づいている保護者もすでに大勢いると感じています。旧来の教育では、先生の言うことを素直に聞く子ども、みんなと同じことができる子どもがいい子とされてきました。でもそうした時代はもう終わり、今はみんな違うことに価値がある時代になりました。その子がその子らしく育つこと、自分の言葉で語りたいことを語れることが何より大切です。本当の自律とは、適度に他者と依存し合えることだと思います。誰しもできないことがあって当然なのだから、うまく周囲とつながって、他者の力を借りながら問題を乗り越えていけばいいのです。
濱口瑛士さん
(はまぐちえいし)
画家/絵本作家。3歳頃から絵を描き始める。ディスレクシアという特性を持つ反面、言語による思考力や表現力の知能指数を示す言語性IQは133と高く、物語の創作も得意とする。作品集『黒板に描けなかった夢 ~12歳、学校からはみ出した少年画家の内なる世界』『書くことと描くこと』(ともにブックマン社)をはじめ、絵本『ダビッコラと宇宙へ』(白泉社)など。
<メッセージ>
学校で子どもたちが要求される事は矛盾しているのです。学校内で 子どもは先生の指示を聞いて、従う事が求められます、許可された事以外はしてはいけないし、自分 に何が必要かも大体は先生方が決めます。しかし同時に子供は独立自主の精神も学ばなければならな いのです。自分で考え行動する大人を作るためにその訓練をするのです。先生になんでも聞いてはい けないと言われる事もありました。ふむ、何かがおかしい気がしますね?主体的な人間を育てたいの なら自分で全てを決定するべきだし、誰かへの忠実さに美徳を見出す人間に育てたいのなら自分で考 えるのは無意味ではありませんか? 都合よく、時と場合に合わせて、この両方を使いこなせと言うのは些か無理な話ではないでしょうか。
宮田純也さん
(みやたすみや)
早稲田大学高等学院、早稲田大学教育学部 教育学科 教育学専攻 教育学専修卒業、早稲田大学大学院教育学研究科修了(教育学修士)。日本最大級の教育イベント”未来の先生フォーラム”創設や2億7千百万円の奨学金設立など、様々な教育に関する企画や新規事業を実施。株式会社未来の学校教育 代表取締役(朝日新聞グループ企業)、武蔵野大学アントレプレナーシップ研究所客員研究員などを務める。編著に『SCHOOL SHIFT』(明治図書出版)、監修に『16歳からのライフ・シフト』(東洋経済新報社)
<メッセージ>
現在、社会や経済環境は急速に変化を続けています。人に仕事をつける日本型雇用(終身雇用)から、仕事に人をつけるジョブ型雇用にシフトする企業も増えています。日本の学校教育のカリキュラムは、職業観・キャリア観を日本型雇用と結びつけて考えやすい構成になっています。ジョブ型雇用への移行が進むほど、これからを生きる高校生の進路やキャリア選択の可能性を見つめなおす機会が増えていくでしょう。また、社会が変わる中で、学校教育のあり方も新しい社会に適応していく必要があると考えられます。
平井 聡一郎さん
(ひらいそういちろう)
合同会社未来教育デザイン 代表社員。茨城県の公立小・中学校で教諭・教頭、校長として勤務。その間、総和町・古河市・茨城県教育委員会を経て、株式会社情報通信総合研究所の特別研究員。2022年より現職。文部科学省 ICT活用教育アドバイザー。総務省 地域情報化アドバイザー。経済産業省産業構造審議会 臨時委員。中央教育審議会臨時委員。
<メッセージ>
子どもたちは、現行の65歳で定年退職する働き方を変えなければならないでしょう。生涯現役だとしたら、65歳で引退した後、40年以上も働かなければなりません。今の子どもたちは最低でも60年、長い人は80年働くことになるのです。学校で学んだ知識はどこまで使えるのでしょうか。やはり学び直しは欠かせないと思います。つまりこれからの子どもたちは、80年働くことを念頭に置きながら、常に自分自身をアップデートする力を身に付け、人生を歩んでいくことが必要になります。「今までやっていたからやる」ではなく一度ゼロにして、あらためてやるべきことを絞っていく。教師の皆さんには、これまでの思考や習慣をフラットにする「Unlearn(アンラーン)」の考え方を取り入れてほしいです。「授業はこうあるべき」「行事はこうあるべき」といった考えを一度なくし、フラットな状態で見つめ直してほしいと思います。
応援いただいている方々 NO2
加賀丈子さん
(かがともこ)
大阪府枚方市出身。伯父の影響で中学生の頃から津軽三味線を習い始める。平成12年、高校を中退し日本民謡協会豊寿会(ほうじゅかい)・津軽三味線家元 内田實氏に師事。門下で最も早く師範代を修得する。令和3年津軽三味線全国大会コンクールinびわ湖一般女子の部にて準優勝を受賞するなど多数の受賞歴を持つ。令和5年に師匠の元を独立し、津軽三味線ともの会を発会。演奏活動と共に指導にも精力的に取り組み関西を中心に幅広く展開している。
<メッセージ>
“こうすれば間違いない。こうしておけば大丈夫。”長年学校が進めてきた教育には何の保証もないことが露呈してきた近年。言われた事を言われた通りにこなす仕事はすべてAIに取って代わって行きます。大切なのは生まれた環境でも学歴でも偏差値でもなく、確実に自分の意見を持ち表現できる力、バイタリティです。私は小さい頃から集団生活、集団行動が苦手でした。自分の意見はあっても社会生活において“真面目”である事に縛られていました。津軽三味線に出会えて人生をかけてやりたい事が決まった!と思えた後でも芸事の世界という更に特殊な環境においてもがき苦しんだ事もありました。
白でも黒と言われる世界においても視野を広くし自分の頭で考え自分の感性を信じる事の大切さを強く実感しています。人に対して親切であり周りに配慮する。でも自分の生き方に遠慮はしない。それが本当の真面目であると今は思います。
池田靖章さん
(いけだやすあき)
2019 年度、当時34歳の現役最年少校長として同校に赴任。現在は、中高校長および香里ヌヴェール学院小学校を含むキャンパス全体を統括する学院長を兼任する。また2021年度より学校法人聖母女学院の常任理事に従事。学校運営だけでなく学校経営の法人運営全般を取り仕切る。アジア圏の大学進学を開拓したパイオニアであり、「グロ ーバル」とは何か、グローバル社会における進路指導の在り方やこれからの社会での生徒のャリア発達について、進路指導観をアップデートし、これからの社会を生きる子ども達の「生き方」を根本的に考え直す取り組みを行う。また根本に立ち返った学校改革を行い、生徒数の大幅増など社会的評価を得る。
<メッセージ>
本校では、中高生のうちに豊富に原体験となるような経験をさせたいと考えています。積み重ねた経験が生徒たちの後の人生に何らかの形で生きることを期待し、さまざまな活動を行っています。
ですから、探究活動では、与えられた課題をクリアすることよりも、まずは自由な発想でアイデアや考えを生み出すことを重視しています。自分がやりたい、興味がある、という入り口を大切にすることで、生徒の探究心を刺激し、思考力、表現力、協同力といった幅広い力を育んでいきます。さらに、主体的に活動する中で、自己決定できる力も養われます。そのためか、大学進学に際しても、明確な意思を持って大学、学部・学科を選択している生徒が多いと感じています。国内大学だけでなく、海外大進学者が続いているのも、これらの多様な経験から得られる力やチャレンジ精神が影響しているのではないでしょうか。
福本 理恵さん
(ふくもとりえ)
株式会社SPACE 創業者 代表取締役 最高情熱責任者 (CEO)。1981年、兵庫県姫路市生まれ。熱血教師の母の姿を見て、人の人生に影響を与える先生という職業に憧れて育つ。2006年、東京大学先端科学技術研究センターの交流研究員を経て、東京大学大学院博士課程に進学。自身の体調を崩したことをきっかけに日々の食の重要性を再確認し、2012年から「種から育てる子ども料理教室」を主宰する。2013年、東京大学先端科学技術研究センターに戻り、農と食から教科を学ぶ「Life Seed Labo」を立ち上げ。2014年12月、「異才発掘プロジェクトROCKET」を立ち上げてプロジェクトリーダーを務める。2020年8月にSPACEを創業。 新しい学びのモデルを国や自治体とともに創出するため、鎌倉市との「かまくらULTLAプログラム」や京都市との「God Handsプロジェジェクト」など全国の自治体において、地域リソースのなかで子どもの個性が発揮できる教育を展開。
<メッセージ>
子どもが100人いれば100通りの感じ方があります。自分らしくあるってどういうことだろう、自分にしかできないことってなんだろうという想いは誰にでもあって、それが他人と同化し過ぎると、存在意義がなくなると感じている子どもが多いんです。それは大人だって変わりません。ひとつの軸を目指すゴールで互いに競争させるのではなく、互いの違いを生かして協同する。違いを認め合って、自分ができることを出し合う中で、多様な才能を発揮し合える場が生まれていくのではないでしょうか。そのために必要なのは、自分らしさを磨いていく教育。学習の方法や内容、場所など、いろいろな選択肢のある環境を整えることだと思っています。子ども一人ひとりが自分の可能性や力を信じて、自分らしく生きてほしい──それが私の願いです。
日野公三さん
(ひのこうぞう)
明蓬館高等学校理事長兼校長、アットマーク国際高等学校理事長、NPO日本ホームスクール支援協会理事長、日本ペンクラブ会員。岡山大学法文学部卒業後、㈱リクルートを経て、2000年東京インターハイスクール、2004年アットマーク国際高等学校創立、理事長・校長に就任。現在は自閉症作家として活躍する東田直樹氏を受け入れて以来、大きな使命感を持ち、2009年明蓬館高等学校を創立、理事長に就任。2012年校長に就任。2013年、SNEC(すねっく、スペシャルニーズ・エデュケーションセンター)を品川・御殿山に設立、高校段階では例のない、特別支援教育と才能開発センターとして注目を集め、全国の主要都市にSNECを開設している。
<メッセージ>
~群れに背を向ける!~
注目される業績を成す人は多かれ少なかれ群れから離れ、孤独な時間をろうそくの炎を見ながら格闘する時期を過ごしています。しかし、そうしたときこそが至福のときなのです。人は一人では生きていけない。私が学校教育に乗り出す以前はそう考えていました。しかし、独立心、独立の気概を失った、群れの羊のような、われわれ日本人、いや地球人を見る時、もはや一人で生きる人、生きられる人を支援、伴走することがわれわれ学校の使命ではないかと考えています。一人で山を登る登山家、一人でヨットに乗り込み、世界の海原を走る人がいます。生涯を断崖絶壁に仏像を彫り、過ごした名もなき人がいます。われわれの学校にもいます。小さいときから黙々とバレエに打ち込んでいる生徒がいます。一緒に始めたお友達が一人抜けまた一人抜けしていくのに。たった一人で異国の地へバレエ修行へと旅立っていきます。中学時代、何かのきっかけで教室に入れなくなり、半日を保健室で過ごすようになり、おうちで絵ばかり描いている生徒がいます。精密なミニチュアを構想して数週間かけてつくっている生徒がいます。中学時代、教室に入れず、毎日図書室で好きなジャンルの本を好きなだけ読んでいた生徒がいます。いずれも中学時代、群れに入ることに興味を持たずに孤独な時間を過ごしています。
自閉症作家として世界的に知られる東田直樹さんもその一人でした。豊かな十代の時期を孤独に過ごせた人には大人になってからたっぷりのごほうびが待っています。
応援いただいている方々 NO3
炭谷敏樹さん
(すみたにとしき)
ラーンネット・グローバルスクール代表、神戸情報大学院大学学長。 デンマークの社会や教育、とくに娘が通った幼稚園に感銘したことがきっかけとなり、阪神淡路大震災後の1996年、子どもの個性を活かす「ラーンネット・グローバルスクール」を神戸で創設、25年となり、卒業生も活躍している。2010年からは神戸情報大学院大学学長として社会人が社会問題を技術で解決する探究型教育も実践。2019年には「探究メディアQ」を立ち上げ、子どもの探究心を爆発させるための活動に力を入れている。
<メッセージ>
こども一人ひとりが素晴らしい探究心を持っています。それが押しつぶされることなく発揮され、楽しく探究できる学びの場がたくさん生まれることを願っています!
齋藤浩司さん
(さいとうこうじ)
1985年横浜市立中学校採用。2013年副校長。2014年横浜市教育委員会事務局。2018年より4年間、横浜市立鴨居中学校長。2019〜2020年、経産省「未来の教室」実証事業フィールド校として先進的な不登校学習支援に取り組む。2022年3月早期退職後、全国の教育現場を訪れ研究を重ねる。2023年3月、一般社団法人とえはたえを設立。横浜市港北区で不登校児童生徒学習支援を行う「菊名和み塾」を始める。現在、㈱137、㈱ 城南進学研究社顧問。明蓬館中等部スクールマスター。モノグサ株式会社パートナー。毎週土曜日7時からGIGAおしゃべり交流会(オンライン)を主宰。2023年「学校版MBAスクールリーダーシッププログラム」でメンターを務める。
<メッセージ>
不登校の問題についての考え。「民間、地域、協力者とのネットワーキングをもとに、子どもたちを総ぐるみで見ていった」と支援の全体像を伝えた。一方で、「家庭への支援が不可欠だと思っているが、そこへ情報が届かない。学校や行政から情報を発信しても、家庭とのつなぎ目がなく、保護者は不安で仕方ないし、反対に学校や行政に対して家庭からのレスポンスがない」と、学校や行政と家庭との連携不足を課題ですね。
田代浩和さん
( たしろひろかず)
常翔学園校長:同志社大学英文学部を卒業後、大阪工業大学高等学校(当時)英語科教諭に。 2000年に進路指導部長に就き、2005年に「クエストエデュケーション」を導入。常翔学園高校のキャリアプログラム「常翔キャリアアップ・チャレンジ」を構築し、 キャリア教育を常翔学園の教育の中心にすえた。 その後も1人1台のiPadによるICT教育、科学探究授業ガリレオプラン、グローバル教育などを推進。教頭を経て2022年4月から同校校長に就任。
< メッセージ>
自分たちが考えたアイデアこそが大事なんですね。だから絶対に、否定しない。生徒から生まれたアイデアをとにかく否定せずにやるうち、生徒たち自身から「これがいい」「あれがいい」ともっと生まれてくるようになるんです。正直、しょうもないアイデアも結構出てくるんですが、最初から深いものを目指していくというより、やっていくうちに、テーマがだんだん深まっていくんです。元々正解のない問いへの自分なりの答えを探していく学びなんですね。だから、むしろ、それまでの教え方を、手放してほしいんですね。
「正解がない」と言いながら、でも教師の中には「自分の正解」があって、そこに生徒たちを導いていこうとする気持ちが働いてしまうこともよくわかります。だけど、本当にうまくいったチームというのは、そういう教師の思惑すら超えていくんですよ。いい意味での「裏切り」です。そうやって、教師の予測をむしろ裏切ってほしいと思います。少なくとも私は、裏切られたほうが嬉しいですね。常識的に考えられないようなアイデアが、結果的にはいいものになっていく可能性が高いと思っています。
池谷 陽平さん
(いけたに ようへい)
追手門学院中・高等学校 探究科探究科主任 探究デザイナー。2010年~ 大阪府立箕面高校に英語科として着任。2018年~ 追手門学院中・高等学校へ赴任。2020年度に新たにスタートした「探究科」の主任となる。
<メッセージ>
今の生徒たちは、とても忙しい毎日を送っています。朝から夕方まで授業をして、そこから部活をする。帰宅後、夕飯をとって、お風呂に入り、宿題が終わったら、もう寝る時間です。そうすると、例えばゲームが好きな子や読書が好きな子たちが自分の時間をつくるためには、寝る時間を削るしかなくなってしまう。当然、1日を振り返ってみたり、「自分ってどういうもの?」と考えを巡らせたりする時間などありません。しかし探究科が実践していく『経験学習』というのは、自分が体感・実感した価値を、振り返らなければなんの意味も持たないもの。だからこそ、授業の最後に「今日やったことをどう思ったか」を考えて、丁寧に書かせる『リフレクション』の時間を必ず設けています。僕が探究の授業に取り入れたいのが、『アート的手法』です。『クリエイティブ思考』とも似た部分で、例えば当たり前とされるものを疑うことで生まれる自分の価値観と現実とのギャップなど、“自分の内面にあるもの”を、表現したり言語化したりするというもの。これは日本の教育現場では圧倒的に弱い部分です。それをやりながら、知識を入れる“手前”の部分を、探究科の授業で養っていきたい。そこを担うことができれば、生徒たちが自分の未来に対してポジティブに考えることができると同時に、国語や数学といった受験に必要な教科の「学ぶ意味」に気づくこともできるので、学習の効果も最大化されます。結果的には、希望進路の実現にも貢献できるはずなんです。そこまで結果が連鎖していければ、一番いいですね。
応援いただいている方々 no4
辻本義広さん
(つじもとよしひろ)
教員20年目、数学と探究の授業を担当。学習領域を統括する部署である学習推進部長や進路指導部長、主幹教諭を経て、2020年度に教頭に就任。学習推進部長の時代から教育の本質を追究し、新たな教育の在り方について研究実践を行い、教科の1つとした探究科の設立や探究型・プロジェクト型の学びをカリキュラムの中心とした新コース(創造コース)の設立に携わる。また、それらの教育コンセプトから設計コンセプトを考え、新校舎の建築にも携わった。
<メッセージ>
私は数学の教師としてキャリアをスタートさせ、初めの10年くらいは、いわゆる偏差値教育のド真ん中で「志望校に合格させる」という目的のもと、生徒たちにガリガリと勉強をさせていました。しかしその結果として、生徒はかなり疲弊し、いわゆる“主体的な学び”とはほど遠く、彼ら・彼女たちにとって幸せな学校生活でないことが明らかになっていきます。偏差値教育に変わる新しい価値観の軸となるものを作っていきたいですね。なぜなら偏差値による評価や序列のみが重んじられ、生徒たちがその犠牲になってしまっているのが教育の現状です。そんな中で、学校や教員の役割、そして存在意義が問われているように感じます。もちろん私のような考え方は少数派であり、全体的に偏差値を重視する先生方が圧倒的に多いので、理解してもらうには十分な時間と対話が必要なのかもしれません。私は子どもたちに「学び方の選択肢」を与えたいだけなんですよ。
芸名:楽亭 じゅげむさん
(らくてい じゅげむ)
本名:小幡 七海さん
(おばた ななみ)
一般社団法人Lauqhter代表 /落語教育家
落語"を"教えるのではなく、落語"で"参加者自身の個性を引き出す教育者として活動。個性を武器にして人を笑わせることで、人を傷つけない笑いを学ことができる「落語教育」を事業として展開。全日本学生落語選手権優勝と小学校教員の経験を掛け合わせた落語教材を独自開発し、年間100件以上の学校の出前授業、企業研修へ出向き、授業を提供。これまで培ってきた私たちの経験や実績をもとに、数々の素晴らしいお客様にご愛顧いただいております。
<メッセージ>
指示を受けて行動する教育。まだまだこの教育が学校でも社会でも変わらないことを、人々と関わっている中で節々に感じます。自分のやりたいこと、やるべきことを、「自分で考えて動く力」この力は勉強を始める前に何よりも必要な力です。自分の好奇心はどこにあるのか、何をしている時が心がときめくのか。何をしている自分が好きであるか。自分自身の「その瞬間を自分で」見つけるアンテナを張り続ける力を身につけること。そんな教育が広がっていって欲しいと思っています。そんな思いを持って、こちらの取り組みが広がっていきますよう、応援しています。
菅原亮さん
(すがわらりょう)
早稲田大学 教育学部 教育学科卒、東北大学大学院 法学研究科公共法政策専修。株式会社ベネッセコーポレーション、アクセンチュア株式会社にて「人財育成」「組織マネジメント」「働き方改革」などマネジメント職経験。大阪府公募校長として採用。民間企業の経験を社会に役立てたいという想いから「大阪府立豊中高等学校 能勢分校」に着任。「探究活動」「里山・海外留学」「小規模校」という次世代教育の特徴をもつ学校でさらなる改革を行う。
<メッセージ>
「世界が教科書。教室は、町ぜんぶ」というスローガンのもと、緑あふれる能勢町・豊能町でユニークな教育を推進している大阪府立豊中高校 能勢分校。その特長には、地域社会と密接にかかわるテーマがあります。それは、「課題探究~グローカル・スタディ~」という授業です。「グローカル」とは、GlobalとLocalをかけ合わせた言葉。グローバルな視点で世界の事例を学び、地域と協働しながら地域課題の解決方法を探っていきます。それは、課題を発見する力、協働力、プレゼンテーション力など、社会で必要なさまざまな力を身についけることができるのです。
『課題探究~グローカル・スタディ~』は、地域とともに地域のために課題を掘り下げ、自分なりの答えを導き出すということです。能勢町がゼロカーボンタウンを推進することになったので、それをどうすれば前に進めることができるのか、高校生なりの視点で掘り下げていきます。たとえば、行政の現場の方にヒアリングしたり、環境先進国であるドイツからの留学生に話を聞いたり、1年間をかけて課題を探求しています。」という大学のゼミのようなカリキュラムでした。
また、能勢町では、大阪府全域から進学できる“里山留学制度”を採用しています。遠方から通学する生徒を、町ぐるみで応援し、能勢町内の民家に下宿しながら通学できる制度です。
このような教育があってこそ、高校と行政や地域住民とのコラボレーションが実現できたと言えるかもしれません。
安居 長敏さん
(やすい ながとし)
ドルトン東京学園中等部・高等部校長。
1982年に滋賀女子高等学校に赴任し、20年間教員として勤める。2002年に教員生活に一度区切りをつけて起業し、地元の彦根市でコミュニティFMを開局。06年には再び理科・数学科教員として、滋賀学園中学・高等学校に奉職。13年には同校高等学校長に就任、15年からは中学校長も兼務する。その後、沖縄アミークスインターナショナル小学校・中学校校長、学校法人アミークス国際学園・学園長を経て、19年よりドルトン東京学園 中等部・高等部の参事(副校長補佐)として開校初年度の学校運営に携わる。22年7月より現職。
23年「学校版MBAスクールリーダーシッププログラム」でメンターを務
める。
<メッセージ>
これからの時代に大切なのは、自分はどんな人間で、どんなことがしたいのかを内省し、好きなことや興味があることを見つけることだと思います。世の中、待っていてもらえる情報に質の高いものはそうそうありません。求める情報は自ら積極的に取りに行ってください。情報や熱意が足りないと、したいことも認めてもらえないものです。
保護者の方には、子どもの試行錯誤を邪魔しないことが重要になると思います。親世代が良いと思うことが、子どもの将来にとって本当に良いとは限らない時代になりました。もちろん、道を踏み外しそうになったら助けることも必要ですが、できるだけ、あれこれ指図せず、自力で道を拓くのを見守ってください。ガミガミと叱るばかりの親子関係よりも、子どもの進みたい道について相談し合えるほうがずっと良い関係です。
やりたいことに挑戦すれば、間違いなく上達します。子どもを信じて自由に取り組める環境を作ることが私たち大人のなすべきことだと考えています。
応援いただいている方々 no5
西田 隆之さん
(にしだたかゆき)
元丹波中央小学校校長
テヘラン日本人学校校長
兵庫県の丹波市立中央小学校が、2020年度、4、5、6年生の高学年で学級担任制を廃止し、ほぼ同じ担任チームで指導することにこだわった担任システムとした。この担任システム導入のきっかけとなったのは、同校が、「管理・統制」から「自律・個別最適化」を目指したことである。西田隆之校長は「固定担任にしないことで、従来より教師は半歩引き、子どもたちが、自分たちで考え、課題を解決し、問題を乗り越える機会を増やすことができる。また、より多くの大人がかかわれるようになることで、多様化している児童の価値観にも柔軟に対応できる」と説明している。
<メッセージ>
予測不可能な時代を生き抜く力を育てるには、子ども達が自分で考え、判断し、行動する機会を増やさなくてはなりません。しかし、その機会を奪っている人がいます。それが、“先生大好き”と言われたい学級担任の先生。私も、その言葉に酔いしれ、子ども達に自分の価値観を押し付け、自分の思い通りに動く子ども達を見て、喜んでいました。子ども達は、自分で考えることよりも、先生に気に入られることを考えていたのではないでしょうか。今から考えると、ゾッとします。そんなヒーローになりたい学級担任の先生。まだ追い求めますか?
複数担任制を導入した年、校長室で子ども達から感想を聞きました。ほとんどの子ども達が肯定的に受け止めてくれていて、「いろんな先生とかかわれるのが楽しい」と話してくれました。一人の子が「先生との信頼関係は、時間やないねん。自分のことを話してくれる先生やったら信頼する」と語ってくれました。つまり、1年間、一人の学級担任がかかわっても、子どもの心に響かない先生もいるということ。でも、それはその担任の先生が悪いとは決して思いません。その子の心には響かないだけで、他の子の心には響いているかもしれません。いろんな先生がかかわることで、こうしたミスマッチが減り、ベストマッチが増えるはずです。個人の判断が求められ、社会の価値観は多様化する今、子どもの自律のカタチもさまざまです。一人の先生が価値観を押しつけるのではなく、複数の先生で柔軟に対応できる方法を考えていきましょう。
久田 佳孝さん
(ひさたよしたか)
久田教育総合研究所
代表
教員の仕事は、他の仕事にはない「日本の未来を創る」という素晴らしいものです。しかし時間がありません。教員が変われば学校が変わります。一人の教員が輝くと、その教員と関わる何十人の生徒が、年を経るたびに何百人、何千の生徒が変わります。そうなれば、日本の未来は大きく変わっていくことができます。そんな先生方を、全力で応援したい、幸せにしたい。そういう想いで私は仕事をしています。
「学校」のバージョンアップを行いましょう。「学校」の価値を高めていきましょう。改めて社会を変える「学校」の重要性を世の中に問いましょう。そのために私は、全力でサポート・伴走してまいります。
<メッセージ>
世界中が、教育改革真っ只中です。そこにそれぞれの学校のメンバーが協力しあって動けているでしょうか?試行錯誤は始まっていますか?何のために改革が必要なのかということを、教員がみんな理解していますか?
コミュニケーションや対話はうまくいっているでしょうか?教員間に安心安全な環境はありますか?教員の役割だけ決めて、あとは任せたりしていませんか?今まで明治維新から150年もの間、教員は、一人一人が良かれと思ってやってきていることで、それぞれの仕事・価値観を作り上げてきています。そこでは、軍隊・工場に役立つ人材を輩出するためのシステムがずっと行われてきました。求められるてきたものは、「同じ」・「普通」・「前例がある」が正しい選択でした。大量生産を支える資質としては、「素直」「真面目」「勤勉」が何よりで「余計なことを考えないで、言われたことを言われた通りにやればいい」が罷り通ることになっていました。そんな中でいつもと違うことが学校で起こった瞬間、なぜそれが必要なんだ?改革なんかできない。忙しいのだから。と思うのは当たり前かもしれません。人は、変化に抵抗するのではありません。変化させられることに抵抗するのです。特に今までの「個人商店的」教員像のままでは、自分流で行ってきたプライドがあります。一方で、それが出来ない人に対して陰口を言ったりします。これからの学校における教育改革においては、いつまでもこんな状況では、乗り越えられません。そうしたことを前提として、自ら現場・状況を理解し,その選択肢を 明確にした上で、考えるべきことは「どのような行動を選択するかを決めるプロセスに関わった人たちは,変化に抵抗するのではなく,建設的に進めよう とする傾向がある。」ということです。自分の仕事のやり方ではなく、生徒にどんな力を与えるべきか、そのため何をどうやるかがを求められている時です。学校が直面している課題に対してどこから手をつけ、全体として組織として動けているか(協働できているか)が大きな鍵となります。そうだとすれば、子供達に、まず話しを聞きましょう、ゆだねてみましょう。子供達はどんな世の中にしたいと思っているのでしょうか?どうしたらそれが実現できるという実感を持ち得るのでしょうか?それを全力で、しかも色んな年代の子達が主体的に実践しているTAFpysisは、その子供達の「声」を世の中に問う素晴らしい活動だと思います。私も微力ながら応援していきます。